
ノイズフィルタの単相と三相の違い
電源ラインのノイズ対策に欠かせないノイズフィルタ。
特に、単相電源と三相電源のどちらを使用するかによって、その特性や設計が大きく異なります。
適切なフィルタを選択することで、電子機器の誤動作を防ぎ、安定した電力供給を確保することが可能です。
ここでは、単相ノイズフィルタと三相ノイズフィルタの基本的な仕組みや特徴のほか、適切な選び方について詳しく解説します。
ノイズフィルタには単相と三相がありますが、
それぞれどんな違いがあるのでしょうか?
単相ノイズフィルタは主に家庭用や小型の電子機器向け、
三相ノイズフィルタは工業用設備や高出力機器向けに使用されます。
それぞれの特性について詳しく見ていきましょう。
単相ノイズフィルタの特徴
単相ノイズフィルタは、主にAC100VまたはAC200Vの単相電源ラインで使用されます。
- 小型・低コストで設計できるため、家庭用機器やオフィス機器に広く利用される。
- ラインとニュートラル間のノイズを抑えるのが主な目的。
- 一般的なフィルタ回路には、XコンデンサやYコンデンサ、コモンモードチョークが含まれる。
- 高周波ノイズの除去に適しているが、大電力機器には適さない。
なぜ単相ノイズフィルタは小型で済むのでしょうか?
いい質問ですね。
単相電源は供給電圧が低く、必要な電流も比較的小さいためです。
そのため、使用するインダクタやコンデンサの容量が小さくなり、結果としてフィルタもコンパクトになります。
三相ノイズフィルタの特徴
三相ノイズフィルタは、AC200VやAC400Vなどの三相電源ラインで使用され、大電力機器のノイズ対策に重要です。
- 高いノイズ抑制性能を持ち、工業用設備やモーター駆動システムに適している。
- 三相交流の各相間に発生するノイズを低減するため、フィルタ回路が複雑になる。
- 電流容量が大きいため、サイズが大きくなる。
- 主にコモンモードノイズやディファレンシャルモードノイズを低減する設計。
なるほど。でも、なぜ三相ノイズフィルタは高価なのですか?
三相電源は電流が大きく、それに対応するために
大型のインダクタやコンデンサが必要になります。
また、三相フィルタは単相フィルタに比べて制御するラインが多いため、
構造が複雑になり、コストが高くなります。
単相ノイズフィルタと三相ノイズフィルタの比較
項目 |
単相ノイズフィルタ |
三相ノイズフィルタ |
適用電源 |
単相100V/200V |
三相200V/400V |
用途 |
家庭用機器、小型電子機器 |
工業設備、モーター駆動 |
ノイズ抑制性能 |
中程度 |
高い |
サイズ・コスト |
小型・低コスト |
大型・高コスト |
まとめ
単相ノイズフィルタは、家庭用やオフィス機器に適したコンパクトな設計であり、コストパフォーマンスが高いです。
三相ノイズフィルタは産業機器や高出力のモーター制御に必要不可欠で、より強力なノイズ抑制機能を持ちます。
用途に応じて適切なノイズフィルタを選択することが重要です。

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