
スナバ回路とノイズフィルタの違い
電子回路の安定性とノイズ対策を考える上で、スナバ回路とノイズフィルタは欠かせない要素です。
どちらも過渡的なスパイクやノイズの抑制を目的としますが、その動作原理や用途には明確な違いがあります。
例えば、スイッチング電源やモータードライブでは高周波ノイズやサージが問題となりますが、スナバ回路とノイズフィルタの役割は異なります。
スナバ回路とノイズフィルタってどちらもノイズを抑えるものですが、
具体的にどう違うのでしょうか?
良い質問ですね。スナバ回路は主にスイッチング素子の保護を目的に使われるのに対し、
ノイズフィルタは回路全体のEMI(電磁干渉)を低減する役割を持ちます。
スナバ回路の特徴
スナバ回路(Snubber Circuit)は、スイッチング素子に発生するサージ電圧を抑制し、素子の保護や電圧ストレスの低減を目的とします。
- 主にリレー、トランジスタ、MOSFET、IGBTの保護に使用される。
- 高電圧スパイクを抑制し、素子の寿命を延ばす。
- 抵抗(R)とコンデンサ(C)の組み合わせ、またはダイオードを含む場合がある。
- 特定のスイッチング動作に合わせて設計される。
スナバ回路はどうやってノイズを抑えるのですか?
スナバ回路は、スイッチング時に発生するエネルギーをコンデンサと抵抗で吸収し、
急激な電圧変化を抑えます。
ノイズフィルタの特徴
ノイズフィルタ(Noise Filter)は、主に高周波ノイズや電磁干渉(EMI)を低減し、回路全体の信号品質を向上させるために使われます。
- 電源ラインや信号ラインのノイズを抑制する。
- LCフィルタ(インダクタ+コンデンサ)が一般的。
- コモンモードチョークを使用し、外部からのノイズを除去する。
- 高周波ノイズ対策としてシールドケースと組み合わせることもある。
ノイズフィルタは、設計次第でノイズの減衰特性が大きく変わるため、
使用する周波数帯やインピーダンスマッチングを考慮することが重要です。
スナバ回路とノイズフィルタの比較
項目 |
スナバ回路 |
ノイズフィルタ |
主な目的 |
スイッチング素子の保護 |
回路全体のノイズ低減 |
使用場所 |
リレー、MOSFET、IGBT |
電源ライン、信号ライン |
構成要素 |
抵抗+コンデンサ(RC)、またはダイオード |
インダクタ+コンデンサ(LC) |
ノイズの種類 |
スパイクやサージ電圧 |
EMI(電磁干渉)、高周波ノイズ |
なるほど、それぞれの役割がはっきりと分かりました。設計時にどちらを使うか、しっかり考える必要がありますね。
このように、スナバ回路とノイズフィルタでは目的と使用方法が異なります。
スイッチング素子の保護が必要ならスナバ回路、
回路全体のノイズ対策ならノイズフィルタを選びましょう。
まとめ
スナバ回路とノイズフィルタはどちらもノイズを抑える役割を持ちますが、その目的と適用範囲が異なります。
スナバ回路はスイッチング素子の保護に重点を置き、主にサージ電圧を抑えるために用いられます。
一方、ノイズフィルタは回路全体のノイズ対策として、EMIや高周波ノイズの低減に役立ちます。

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