
スイッチング電源の形状による違い
スイッチング電源は、電子機器や産業機器に広く使用されている高効率な電源供給方式です。
その形状には大きく分けて「ユニットタイプ」「基板タイプ」「オンボードタイプ」の3種類があり、用途や設計の自由度に応じて選択されます。
ここでは、それぞれの特長やメリット・デメリット、適用例について詳しく解説します。
スイッチング電源の形状によって、性能や設計の自由度がどのように変わるのでしょうか?
それぞれのメリット・デメリットも知りたいです。
スイッチング電源の選択は、放熱設計、EMI対策、実装スペースなど、
さまざまな要因によって変わります。それぞれの形状の特長を詳しく見ていきましょう。
ユニットタイプの特長
ユニットタイプは、金属ケースやプラスチックケースに収められた独立型の電源モジュールで、機器の外部や筐体内部に設置して使用されます。
- 外部環境の影響を受けにくく、安全性が高い。
- 冷却ファンを搭載した大出力モデルが多い。
- 配線作業が比較的簡単で、設計の自由度が高い。
- 機器内部でなく、外部設置が可能。
ユニットタイプは放熱性が高いとのことですが、例えばどのような機器に最適なのでしょうか?
例えば、工場の制御機器や医療機器、産業用ロボットなど、高出力かつ安定した電源供給が必要な場合に適しています。
ただし、ファン搭載モデルはメンテナンスが必要になる点がデメリットです。
基板タイプの特長
基板タイプは、機器内部のメイン基板や電源基板に直接組み込んで使用するタイプで、小型機器や家電製品の内部電源として利用されます。
- ケースがないため、放熱設計やシールド対策が必要。
- 軽量かつコンパクトで、機器内部に直接組み込める。
- コストが比較的低い。
基板タイプはコストが低いとのことですが、
設計上の課題はありますか?
はい、基板タイプは放熱やノイズ対策が重要になります。
特に高周波ノイズの管理が設計上の課題になります。
オンボードタイプの特長
オンボードタイプは、基板上に直接実装される小型モジュール型の電源で、組込み機器やモバイル機器などの省スペース設計に適しています。
- DC-DCコンバータとして使用されることが多い。
- 超小型で軽量。
- 基板に直接搭載するため、配線が不要で高効率。
オンボードタイプは非常に小型ですが、
設計上の制約はどのようなものがありますか?
オンボードタイプは放熱が最大の課題です。
特に高電力を扱う場合、熱の拡散を適切に管理しないと寿命や性能に悪影響を及ぼします。
また、基板スペースに制約があるため、設計時の自由度は比較的低くなります。
3種類の比較
項目 |
ユニットタイプ |
基板タイプ |
オンボードタイプ |
設置方法 |
外部または筐体内 |
機器内部 |
基板上に直接実装 |
冷却 |
ファン付きも多い |
ヒートシンク設計が必要 |
放熱設計が必要 |
サイズ |
大きめ |
中型 |
超小型 |
メリット |
高出力・安全性が高い |
コストが低く 設計の柔軟性がある |
小型で実装が容易 |
デメリット |
サイズが大きく スペースを取る |
放熱設計が必要 |
放熱対策が難しく 高出力には向かない |
主な用途 |
産業機器・医療機器 |
小型機器・家電 |
モバイル機器・組込み機器 |
それぞれのタイプには明確な用途があるため、単にサイズやコストだけでなく、
放熱やノイズ対策も考慮して選定することが重要です。
まとめ
スイッチング電源は用途に応じて形状が異なります。「ユニットタイプ」は大出力向けで、外部環境から保護された設計が可能です。
「基板タイプ」は機器内部に組み込めるコンパクト設計であり、コストを抑えられます。
「オンボードタイプ」は超小型で、モバイル機器や組込み用途に最適です。
使用する機器や設計の制約を考慮しながら、最適なタイプを選択することが大切です。

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