
バリスタとツェナーダイオードの違い
電子回路の過電圧保護に使われる「バリスタ」と「ツェナーダイオード」。
どちらも過電圧が発生した際に電圧を制御する役割を果たしますが、それぞれ特性が異なります。
ここでは、バリスタとツェナーダイオードの基本的な仕組みや用途、利点と欠点を詳しく解説します。
バリスタとツェナーダイオードって、どちらも過電圧対策に使われると聞きました。
どう違うんですか?
どちらも過電圧保護のために使われますが、動作の仕組みが異なります。
バリスタは電圧に応じて抵抗値が変化する素子で、
雷サージや突発的な高電圧から回路を保護します。
ツェナーダイオードは一定の逆方向電圧で動作し、電圧を安定化させるのが特徴です。
ツェナーダイオードは定電圧電源回路やリファレンス電圧の生成に用いられることが多いですね。
バリスタの特徴
バリスタ(Varistor)は、電圧に応じて抵抗値が変化する素子です。
- 瞬間的な過電圧(サージ電圧)に対する保護に最適。
- 高電圧がかかると抵抗値が急激に下がり、電流を吸収して回路を保護。
- 雷サージや突発的なスパイク電圧に強い。
- 長時間の過電圧には対応できず、経年劣化しやすい。
ツェナーダイオードの特徴
ツェナーダイオードは、一定の逆方向電圧を超えると導通し、電圧を一定に保つ機能を持ちます。
- 電圧を一定に維持するため、定電圧回路に適している。
- 過電圧の吸収よりも、回路の電圧安定化が主な用途。
- 小電流で動作し、リニアな特性を持つ。
- 長時間の過電圧には対応できず、一定の電流以上が流れると破損する可能性がある。
なるほど。
では具体的にどんな場面で使い分けるのでしょうか?
例えば、雷サージやノイズから保護したい場合はバリスタが適しています。
主にAC電源ラインの保護や高電圧機器のサージ対策に使われます。
一方で、電源電圧を安定化させる用途ならツェナーダイオードが向いています。
リファレンス電圧や電源の安定化に使われ、小電流回路で効果を発揮します。
バリスタとツェナーダイオードの比較
項目 |
バリスタ |
ツェナーダイオード |
動作原理 |
電圧に応じて抵抗が変化 |
一定の電圧を超えると導通 |
主な用途 |
雷サージ、過電圧保護 |
定電圧、リファレンス回路 |
反応速度 |
やや遅い |
高速 |
耐久性 |
高電圧の瞬間的な保護が得意 |
低電流での電圧安定化が得意 |
まとめ
バリスタとツェナーダイオードは、どちらも過電圧対策に使われますが、用途が異なります。
バリスタは雷サージやノイズ対策に最適で、主に電源ライン保護や高電圧機器の安全確保に使用されます。
ツェナーダイオードは定電圧を維持する用途に向いており、リファレンス電源や電源回路で使われます。
適切な用途に応じて、最適な保護素子を選択することが重要です。

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